これから数回にわたり、伸芽会の授業の実践からお子さんの力を伸ばすヒントをご紹介していきます。
幼い子どもの独創的な思いつきに驚かされたことがある方も多いと思います。
その思いつきを単なるアイディアで終わらせず、発想や表現力をさらに豊かに広げていくためには、どのようなことが必要でしょうか。
初めからいきなり「今日は楽しいものを作りますよ」と投げかけるだけでは少し飛躍があります。普段マイペースなテンポで生活を送っている子どもたちには、その日の課題となるテーマを身近に感じられるような、ワクワク感を刺激する雰囲気作りが大事です。たとえば―「空を自由に飛べるような乗り物ってどんなものが思い浮かぶかな?」飛行機とかヘリコプターじゃなくて、見たこともないような素敵なものにしてほしいな」きっかけは子どもの好きなものや興味を引きそうなことば。限られた時間のなかでイメージを引き出すには、子どものイメージを膨らませるために、ある種の情報設定をしてあげるとよいでしょう。
「空を飛ぶ」……羽根がある、ロケットみたいなすごい速さのもの、バルーンや気球、さまざまなイメージが教室に広がります。他の子の発言を聞くことで、ますますイメージが豊かになりますね。
そうしたら次は、抱いたイメージを形にしてみようと働きかけます。実際に手を動かし作ってみると、なかなか思った通りにいかないことも。そんな経験も子どもにとっては重要なステップです。
ごく普通の外見の<車>を作った子が「この車はね、空を飛べと言えば飛ぶんだよ」と説明してくれても、その物体の表現では伝わらない。そんなときには、「じゃあね、他とはちょっと違う目印をつけてみるのはどう?」と声をかけます。飛べ!と命じたら羽根が出てくるかな?「そうだね!」と子どもが頷きながら屋根に翼をつければ、それでもうオリジナルな制作物のできあがりです。
教師のちょっとした助言から、子どものがんばりが生まれて作品が仕上がれば、満足感や達成感につながり、創作的な活動がどんどん好きになっていきます。