伸芽会の教師がつづるエッセーです。教育や子どものこと、自分自身の近況など、普段感じていることをつづっていきます。
○こんな場面、ありませんか?子どもを守る保護者でありたいものです
ある日の参観授業。私は子どもたちに質問しました。「あなたのお家は何人家族ですか?」それに対して、ある子が元気に答えました。「5人です!」途端に、後ろで見ているご両親が吹きだしてしまいました。お子さんがかわいがっていたイヌを、家族に入れてしまったのです。子どもは後ろを振り返り、ご両親が笑っているのを見て、顔を赤らめながらうつむいてしまいました。こういうケース以外でも、面接の席などでお子さんの答えに失笑をもらすご両親がかなりいらっしゃいます。笑われてしまったお子さんの心を考えられない保護者では困ります。この世で、もっとも尊敬しているお父さんと、もっともやさしくしてほしいお母さんから、しかも初対面の人の前で笑われてしまったのですから、ショックを受けないわけがありません。みじめな気持ちになっています。かわいそうで見ていられません。お子さんはご両親の前で緊張し、懸命に答えようと頑張っているのです。ご両親にいいところを見せたいために。顔を赤らめるばかりか、涙ぐむお子さんさえいます。そして、笑うばかりか、お子さんの答えを訂正にかかるかたもいます。「健ちゃん、ジョンはワンちゃんでしょ?ワンちゃんは家族に入れなくていいの」こんなことは言わずもがなです。おお子さんの傷口を広がるだけです。お母さんの言葉もおかしいですね。「健ちゃん」「ワンちゃん」はないでしょう。もしも、本番の面接の時にこれが起こったらどうすればいいでしょうか。それは、ご両親への質問で、お子さんの正確などをたずねられたときに、「非情に心のやさしい子で、ジョンを家族同様にかわいがっています。健一には、自然な答えだと思います。家族の意味をきちんと教えておかなかった私の責任です。」このようにカバーできるお母さんでありたいものです。保護者とは、自分より弱いもの、未熟なものを守る責任者であることを忘れてはならないのです。