小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
面接で見られるのは普段着の心。いつもどおり、お子さんをやさしく見守ってあげたいものです。
「先生、面接の模範解答マニュアルはないのですか」入試直前になると、こうした質問をされるお母さん方が増えてきます。マニュアルが仮にあって、それを覚えて面接に臨んだとします。みなさんが同じ答えをしては、担当する先生方はさぞ驚かれることでしょう。一般的に、面接の質問は願書や面接資料に記入されたことを中心に行われています。面接の意図は、志望理由、ご家庭の教育方針(育児の姿勢)、お子さんの性格などから、学校と家庭が一致協力して教育に携わることができるかを知ることにあります。学校側は、「作られ、絵に描かれたご家庭の姿」を見たいのではありません。面接に臨む心は普段着でいいのです。とはいえ、親子面接は多くの方にとって初めてになります。緊張のあまり、普段では考えられない行動をすることも充分あります。入室し、あいさつもそこそこに、お父さんがみんなをおき去りにしたようにさっさと座ってしまうのがその一例です。ご自身の就職試験の面接であれば、こんなに緊張することもないのでしょうが、ことかわいいお子さんの面接となれば、緊張するなという方が酷なのかもしれません。入室し、椅子の前に立てば「ご主人はこちらへおかけください」などの指示がありますから、それから行動を起こしても十分です。もし、声がかからなかったときは「こちらでよろしいでしょうか…」などとたずねてみることです。そのときはお母さんではなく、ご主人に任せるべきでしょう。日常生活を考えても、初対面の方と話をするときはご主人がリードするのが自然ではないでしょうか。一方でお母さんには、お子さんがきちんと腰かけられたかを見届ける余裕を持ってほしいのです。もし、大人用のいすが用意されていたらどうしますか。高くて座りづらそうだったら笑顔で安心させたり、励ましてあげ、自分で座るようにさせ、できなければ手を貸してあげてもよいのです。そこまで気を使ってほしいのです。元気なお子さんや、ものおじしないお子さんは、先生の指示がある前にちゃっかり座ってしまう場合があります。歓迎すべきことではありませんが、そのときお母さんはどうしますか。「申し訳ございません」頭を下げるお母さんからは、「しつけがいたらないものですから」と、お子さんをかばう温かい気配りが伝わってきませんか。逆に小さな声であっても、叱った場合は、「いつも、ママが教えているのに。そうしてできないんでしょうね、あなたって子は」と責任をお子さんに転嫁しているように見えてしまいます。第三者の前で叱るのはいいことではありません。ましてや面接会場で、そのような態度は許されません。しかし、普段から人前で叱りつけるような育児をしていると、自然にその態度が出てしまうことでしょう。面接においても、ご両親はお子さんをやさしく見守る態度が必要ですし、それが、お子さんをリラックスさせることにもつながります。着席後もお母さんは、やや視線を下げ、常に視野の中にお母さんの姿をとらえてあげるくらいの余裕を持ってほしいと思います。