小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
小学校受験に合否はあっても、〝不合格〟はありません。お子様の進学する学校が最良の場所なのだと先を見据えて前向きになることです。
平成20年度小学校入試がいよいよ近づいてきました。受験には必ず合否判定が伴います。毎年この時期には、「もし不合格だったら、子どもにどう話せばよいのか」「子どもが傷つくのではないのか」といったご相談を受けますので、入試後の対応についてお話します。その前にまず、お子様は受験の心構えをしっかりもてているでしょうか。「小学校の先生は、何でも自分で考えて行動でき、他の子とも仲よく遊べるお兄さん、お姉さんに来てもらいたいと思っているので、必ずしもみんなが行けるわけではないのよ。でもしっかりした小学生になれるように、今からがんばりましょうね」など、できれば年長を迎える春に、小学校に通う1年後の姿を想像させながら、受験の意味合いをお話しされるとよいでしょう。そうすることで、長期間かけて学習することが何につながるのかを、子ども自身も理解することができます。残念なことに、どんなにがんばったとしても合格がもらえないケースもあります。しかし、たとえ国立や私立を1校だけ受験し不合格だったとしても、公立校を含めると2校になりますから「あちらはだめだったけれど、こちらは受かったわよ」と、お子様に伝えることもできるでしょう。そう考えると、小学校受験に〝不合格〟はないのです。実例を挙げてみましょう。倍率の高い小学校に合格できなかったお子様がショックを受けてしょんぼりしていました。別の学校の入試も控えていたので、お母様は〝嘘〟の合格通知を作り、ポストに投函し、試験日の朝に子どもにとらせるようにしました。すると子どもはその日元気にがんばり、見事合格できたのです。このように子どもの将来を考えた嘘も、時には必要なのかもしれません。結果はともかく、小学校受験は決してゴールではなく、長い人生のゴール地点に立ったということです。そもそもご両親がお選びになった学校をお子様は受験しているのですから、合格校が第一希望ではなかったとしても、「1番目がだめだったから、2番目の学校になってしまった」とは決して言わないでください。「子どもが入る学校こそ、その子に一番合っている場所なのだ」と先を見据えて前向きになることです。そうすれば、園や幼児教室などでご家庭によって合否が分かれてしまったとしても、「うちの子と同じように、あのお友達も一番よい学校へ行かれるのね」と親同士が配慮しあい、尊重しあえるようになるのです。それから、試験終了後に大事なのは、今までの学習習慣をぱったりと止めないことです。時間がきたら机に向かえる、みんなと一緒に集中して学べるなど、受験準備を通して勉強する土台を作ってきたのですから。伸芽会では、小学校で気後れしないようにと、12月から「就学前講習」を開催しています。ペンの持ち方から平仮名などの筆順、「アヒルが2匹いて、後から3匹やってきたら合わせて何匹?」といったイメージの「2と3でいくつ?」から、記号としての「2+3=」を理解させていくなど、小学校の内容に対応した国語、数学、英語などを教えています。ご家庭でも、適切な家庭学習の時間を設定し、内容を小学校向けのものにスライドしたりして、入学準備を進めていってください。