小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
1歳児の力を伸ばすには―?自分の力でどこでも行ける探検の日々と多くの出会いが、お子様の可能性を引き出します。
1歳児は小さな身体で、日々いろいろなことを吸収しています。この時期は感覚器が発達するため、自分の手や口で触れ、まわりの世界を感じとります。今回は1歳児の発達を促す周囲の環境作りや働きかけについてお話ししたいと思います。まず、ちょうどこの頃はハイハイを卒業し、立ち上がって歩きはじめる時期なので、お家の中で自由に遊べるスペースを作り、大いに探索させてあげてください。周囲にものに興味をもち、自分の意思で動き回ることは感覚だけでなく、運動能力を養うことにもつながります。このときにお子様が怪我をしないよう安全管理をすることはもちろんですが、あらかじめ危険を教えるために、ピンや針などにほんの少し触らせることも一つの教育になると思います。お子様は痛みを知り、それを不快なものとして認識します。これも成長につながる貴重な経験です。ですから危ないものをすべて遠ざけるのではなく、多くの出会いのある環境を作ることが大切です。おもちゃを与えるときも、木製のおもちゃなど、想像力を養えるものがよいのはもちろんですが、それ以外の、例えばガチャポン出出てくるようなものも排除せず、さまざまなものに触れる機会を与えましょう。また個人差はありますが、言葉を発し始める1歳半~2歳になる前から、いわゆる〝言葉のシャワー〟を与えることも大切です。このとき心がけていただきたいのは、花を見て「きれいね」と言葉にするだけではなく、表情や動作でも感動を表現し、お子様に伝えることです。これは伸芽会の1歳児クラスでもとても大切にしています。授業の中では、さらにほかのお子様とふれあう場を作り、遊びを通して社会性や協調性も養います。長年幼児教育に携わってきて、最近はお子様同士に限らず、人と人がふれあう場が少なくなったように感じています。大家族で生活していた頃は、お母様にも助言をしたり、叱ったりしてくれる人がいました。今はそういう存在が身近にいないため、マニュアルに頼る部分があるのかもしれません。しかし実際に経験のある人の話は、重みのあるものです。お子様にとってもその出会いは、それぞれの人の個性を感じとり、刺激を受ける貴重な経験になります。そしてご家庭で過ごすときには、お子様がジブnのペースでじっくり考え、体験できる時間をもつことが大切になります。1歳の頃は、〝模倣時代〟と言われているので、一緒にいろいろなことに取り組みながら、その過程を見せ、吸収させてあげましょう。少し成長したらお菓子を出してお皿にのせるなど、身近なお手伝いから始めるのもよいと思います。このとき注意していただきたいのは、お子様が失敗しても責めないこと、そして結果だけを見てごきょうだいやほかのお子様と比べないことですね。同じ教育やしつけをしても、その結果は一人ひとり異なります。けれどそれは、その子自身の個性の現れであり、成長している証です。お母様はわが子を認め、愛情をもって包み込み、その上で成長の基準をしっかりもつことが大切です。周囲に惑わされず、お子様に適した教育やしつけを行うことは、その子自身のもつ力を伸ばし、やがて幼稚園・小学校受験に向かって歩むときの力強い礎となることでしょう。