「あれ?なんだか集中できていないみたい」「うちの子、みんなの前だと発表したがらないの」「手先の作業がどうも苦手で…」受験準備は、なかなか親の思うようにはいかないもの。つい言いたくなってしまう「なんで?」「どうして!」のかわりに、伸芽会教師が教える〝魔法のことば〟をかけてあげませんか?「発想力」「集中力」「発表力」「巧緻性」「運動意欲」を高める5つのことばがけで、お子様の力を引き出し、合格へと導いていきましょう。
発想力を引き出す 名門小学校に合格するのは「発想力豊かな子ども」といわれます。では、発想力を伸ばすことばがけとは―?
魔法のことば その1「今、考えているところだね」 「長かったらいいなと思うものを、絵に描いてみましょう」このような課題を出すと、手が止まってしまうお子さんがいます。そんなとき私は、「長かったらいいなって思う動物って何だろう?」と独り言をいいます。すると、「キリンの首をもっと長くして、ぐるぐる回っておりるすべり台にしたい!」「牛も長くなったら、みんなで乳搾りができるよ」など、ユニークな発想がぽんぽん出てきます。さらに「動物以外では何があるかな?」と続けると、「長~いバナナ!みんなで抱えて食べたいな」など、あるつぶやきがきっかけで、さまざまなアイデアが飛び交うようになるのです。発想力とは、生活のなかで磨かれた完成と体験がベースです。例えば、公園のブランコで遊んでいるときに、「手を伸ばしたら雲に届きそうだね」「あの雲、イルカに似てるね。乗ってみたいわ」など、ものの味方や感じ方を広げる言葉をかけてあげてください。そういえば、あるお母様から、水を流しっぱなしで台所仕事をしていたところ、お子さんに「おやおや?それでいいのかな?」と指摘され、ハッとしたという話を聞きました。実はその言葉は私の口癖で、ほかにも、考えていない子や考えようとしない子にあえて「お!今考えているところだね」「いい考えが浮かんだ顔をしているね」など、子どもが考えるきっかけとなることばがけをよくしています。答えを教えるのではなく、自分で考えて行動に導く。それが発想力を引き出す第一歩です。 こんなことばがけNG! 「こうしなくちゃダメ」 決めつけや指示出しはNG。色の塗り方などアドバイスしたいことがあれば、お母様が別紙に描き、机に置いておくだけでOKです。
集中力をつける 子どもに集中力がないのではなく、慣れていないだけ。ことばがけひとつで集中力は磨けます。
魔法のことば2「まさか、これはできないよね?」 「うちの子はちっとも集中力がなくて……」と、お母様から相談を受けることがあります。でも、思い返してください。好きな絵本や遊びなど、興味のあるものには熱中していませんか?お子さんに集中力がないのではなく、大人数のなかで場の空気を読むことや、大人の「集中してほしい」と思うタイミングをつかむことに慣れていないだけなのです。集中力=持久力と思いがちですが、幼児における集中力とはスピードとタイミングです。集中し続ける必要はなく、また、〝スタート〟の掛け声で反応するようでは遅い。「今から○○をします」という教師の〝位置について〟の掛け声に、どれだけ敏感に反応できるかが鍵なのです。一方、反応はできても、集中している状態が続かない子もいまうs。ボールを10回以上つける技術があるのに、10回でやめてしまったり……。自分の限界以上にチャレンジする体験がなかったり、ほめられた経験が少なかったりするのかもしれません。伸芽会では、「30秒でやってみよう」と取り組んだペーパー問題で、45秒かかったとしても、「間に合ったね。よくできたね」とほめたりします。〝できた〟という経験で、自信をつけることが大事ですから。そうすれば、「次のは難しいけど、まさか、これはできないよね?」と挑発するような言葉をかけても、「できるよ!」とパッと集中するようになる。〝楽しい〟〝がんばりたい〟と思わせる経験を重ねていくことで、必要な集中力は自然と身についていきます。 こんなことばがけNG!「もっと一生懸命やってよ」 お母さんにほめられたいその一心で、子どもはいつだって一生懸命です。できなくても、「おしかったね」と励ましの一言を。
発表力を伸ばす 自分の得意なこと・経験したことなら、だれだってみんなに伝えたくなるもの。〝話す〟体験を重ね、自信をつけましょう。
魔法のことば3「みんなに教えてあげて!」 伸芽会の授業は、絵画や運動、集団行動など多くの場面で、自分のできることや思っていることを発表する機会があります。「だれかやってくれる人?」と聞くと、「はい!」と元気よく手を挙げるお子さんもいれば、自分からやりたがらないお子さんもいます。やりたがらないお子さんの多くが感じているのは、〝できないかもしれない〟という不安です。体験したことのないことに関しては、自信がないのです。とはいえ、最初から自信をもって自分らしさを発揮できるお子さんばかりではありません。〝できた〟〝話せた〟という成功体験を積み重ねることで、少しずつ身についていくものなのです。例えば、「夏の思い出が描けたら、みんなの前で何を描いたか発表してください」という絵の課題で、カブトムシを描いたとしたら、「カブトムシを捕ったの?すごいね!みんなに捕り方を教えてあげて」と言葉をかけたりあひます。「どんな絵を描いたの?」と尋ねるよりも、「みんな知りたがっているよ」と、その子が経験したことを話してもらうのです。ご家庭でもぜひ、伝えたくなるようなイベントをたくさん体験させてあげてください。また、お子さんの話をしっかり聞いてあげてください。受験で求められるのは、発表できる力だけではありません。先生のお話やお友だちの意見に耳を傾けることも大切です。発表力=コミュニケーション力なのですから。 こんなことばがけNG! 「とにかく話してみなさい」 強制力のある言葉で無理強いするのではなく、「話してみようか」などShall we~の意味をもつ〝誘い〟に変えましょう。