「見る力」「聞く力」「考える力」「話す力」「行動する力」―。小学校受験で問われるのは、5つの力がバランスよく発達しているかどうか。年長になってから慌てることが無いよう、年中の今から、お子様の総合力をじっくりと伸ばしていきましょう。
ベテラン教師が教える極意 子どもの興味や関心を引き出しながら、5つの力を伸ばすにはどうしたらよいのでしょうか。指導歴28年の先生がアドバイスします。
名門小学校が求めるのは5つの力を備えた子ども 5つの力が伸びる過程を植物の成長に例えるなら、「見る力」「聞く力」は植物が根をはる土壌。土壌をしっかりと耕し、たくさんの栄養を与えることで「考える力」という芽が出て、これが「話す力」「行動する力」という花や葉になります。年中児にはすでに「見る力」と「聞く力」があります。ただ、1年後の受験で面接を勝ち取るための基礎が現段階で充分にあるかと言えば、決してそうではありません。そこで私どの伸芽会教師は、土壌をまんべんなく掘り起こしてお子様の芽を伸ばし、「体験」という光と水を与えて美しい花や葉をつけるためのサポートをしています。知識の詰め込みやテクニックだけを教えるのは、コンクリートに造花をつき差すようなもの。これは真の意味での力ではありません。名門小学校が求めるのは、5つの力をバランスよく備えたお子様です。
ご家庭で5つの力を伸ばすために
5つの力は体験を積むことで必ず伸びます。では、ご家庭ではどのようなことを心がければいいのでしょうか?まず大切にしていただきたいのは、親子の対話。ご家庭では、お母さん、こんなことがあってね……」とお子様もたくさん話しかけてくることでしょう。そこでお子様と向き合い、じっくりと話を聞いてあげてください。自分が見聞きした物事を誰かに伝え、受け入れてもらう喜びを体感することが豊かな栄養となるのです。お手伝いもよいですね。食事の準備ではお母様が一人分のお皿を並べ、「この通りに並べてね」と伝えてその通りにセットしてもらったり、スーパーに買い物に行ったとき、「○○を持ってきてね」とお願いしたり。入試本番では、先生の指示を聞いて、行動に移すことが求められますが、こうした日々の積み重ねがあってこそ本番で力を発揮できるようになるのです。それから、もうひとつ。何事も「戦々恐々」ではなく、「興味津々」で取り組めるようにしてあげたいものです。入試では、初めての場所で初めてのお友だちや大人と関わることになります。だからこそ、「どんなところなんだろう?」「どんな人とお話しできるのだろう?」と興味をもち、自分らしく振る舞える度胸を身につけられるとさらにいいですね。人はみな、違っていてあたりまえ、いろいろな形の色や花があるように、人間もまた一人として同じ人はいません。しかし、それを認めなかったり、恐れたりしていては、殻に閉じこもったままになってしまいます。先日行ったサマー合宿では、完済の教室からの参加があったことで、言葉や習慣のお子様の好奇心が刺激され、たくましく成長できたようです。
お母様の笑顔と言葉で子どもは必ず変わります
伸芽会という名の通り、教室での体験でお子様の芽はぐんぐん伸びる事でしょう。ただし、お母様にしかできないことがひとつだけあります。私どもはお子様にたっぷりの光と水を与えることができていますが、それは教室での数時間だけ。植物がそうであるように、お子様が日々刻々と成長していきますから、教室以外の時間はお母様に頼るしかないのです。私どもの一瞬のまばゆい光より、お母様が日々与えるやわらかな光のほうがお子様のすこやかな成長をうながします。お母様の光、言い換えれば、それはまさに「愛」です。お母様の笑顔や言葉がけは、お子様の自信と意欲にダイレクトにつながるのです。