小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
できたことを具体的にほめ、自信をつけさせる。お父様や身近な第三者が認めてあげる。入試直前の言葉がけで、お子様のやる気が変わります。
季節は残暑きびしい秋へと移行し、平成23年度小学校入試までおよそ1カ月となりました。「あれもこれもやらなくちゃ」と焦る気持ちもあるかと思います。考査当日までお子様のやる気を持続させながら、最高のコンディションで当日を迎えるための言葉がけや両親の心構えについてお話ししたいと思います。まず、大人の感覚から考えると〝残り1カ月=追い込みの時期〟ととらえがちです。そのため、できない問題や解けない問題があると、「あと1カ月しかないのよ」「まだこれができないの?」とつい言いたくなってしまうこともあるでしょう。しかし、幼児にとって、急かすような言葉はプレッシャーや不安につながります。また、9月~10月は、これまでの体験や経験が土台として蓄積されてきた中で、できなかったことが急にできることもあります。できないからといって、全く理解していないというわけでもないのです。ですから直前期は、〝できないところをなくす〟というよりも、〝もう一度まんべんなく繰り返し取り組む〟ことをおすすめします。そうすると、以前はできなかったことができるようになっていたり、できることが増えていることに気づかれると思います。そんなときはすかさず、「前はこうだったけれど、こういうことができるようになったね」と具体的にほめてあげましょう。そしてほめるときには、「これなら80点はできているよ」といった客観的な評価ではなく、「お母さんは、ここがいいと思う」「お父さんが、こういうところが上手だってほめてたよ」など、お子様にとって身近な存在であるご両親やご家族が認めているということを伝えてあげてください。あるお母様のお話なのですが、普段はお仕事でお子さんと接する時間がとれないお父様が、お子様に向けて毎日手紙を書いてあげたそうなのです。「今日はこういうことをがんばったね」「こんなことができるようになったんだね」など、内容はささいな日々の成長についてなのですが、お子様にとっては大きな自信とやる気につながり、よい調子のまま本番を迎えられたそうです。そしてもうひとつ必要なのが、受験のことを本人にどう伝えるかということです。過度に緊張させないために何も知らせずに受験させる、というケースもあるかもしれません。しかし、お子様は「来年は小学生になる」ことは分かっていますし、学校によっては「この学校の名前を言えますか?」と面接で聞かれることもあります。できれば1カ月ほど前までに、きちんとお子様にどんな学校を受けるのかは伝えておきたいですね。たとえば、「お母さんとお父さんは、この学校があなたに一番いいと思ってるのよ」「この学校は、こういうところがいいわね」「あなたの好きなサッカーが強い学校よ」など、お子様の様子や性格、好きなことに合わせて話してみてください。そのうえで、「でも、学校の先生が『あなたに来てほしい』と言ってくれないと学校に入れないから、あなたの一番いい姿を先生に見せてあげようね」などと少し刺激したりするのもよいでしょう。徐々にモチベーションを挙げつつも、落ち着いて当日を迎えられるような言葉がけをしてあげましょう。後は、どれだけわが子を信じ、お母様とお父様のこれまでの育児を信じ、学校を信じるかということが一番大切なことです。「完璧ではないかもしれないが、やるべきことはやった」「悔いはない」といった心持ちで、試験会場に送り出してあげましょう。