小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
ビッグイベントが目白押しの冬だからこそ、〝演出力〟でお子様の期待感を盛り上げていきましょう。準備段階から親子で一緒に楽しむ気持ちが大切です。
平成24年度小学校入試まで1年を切り、園ではまだ年中のお子様も、伸芽会では〝年長〟としてコースがスタートしています。また、入試までに経験できる冬は今季だけですので、今回はご家庭での冬の過ごし方についてお話しします。幼児の場合、時間の流れを把握できるようになるのが5|~6歳の時期です。クリスマス、お正月、豆まきなど、これまでの冬の思い出は断片的な記憶がほとんどでしょうから、この時期のイベントや行事は一つひとつ大切に経験させてあげたいものです。また、入試で求められるのは、「どれだけ知識として覚えているか」ではなく、「どれだけ行事や日本文化に触れてきたか」です。お子様に楽しい思い出を作ってあげるには、ご両親の〝演出力〟が試されるのです。ではどのような演出が、お子様の記憶に深く残るのでしょう?そのポイントは、「楽しいことがやってくるという期待感を盛り上げる」ことです。クリスマスだからと単にツリーを飾ってきーきを用意するのでは、その日、その瞬間の印象しか残りません。お子様と準備段階から一緒に楽しんでいただきたいのです。例えばクリスマスであればアドベントカレンダーを一緒に作ったり、ほしいプレゼントの絵を描いたりするのもよいでしょう。また、「除夜の鐘はどこのお寺でついてみたい?」とお子様と相談して決めたり、外で凧揚げやコマ遊びをしたり、ご両親が書き初めをしている横で、墨絵にチャレンジさせたりするのもお子様にとっては新鮮な経験となりますね。大切なのは、クリスマスやお正月などの特別な行事を、ご両親と一緒に準備した、楽しんだということなのです。できるだけお子様が没頭して作業や遊びに取り組める環境を作ってあげて、「一生懸命やっていたね」「じっくり取り組んでいたね」など声をかけてあげるとよいですね。家庭学習においては、この時期にプリントに取り組んでも、まだ間違いやわからないことが多いと思います。できない問題があれば、それは体験の量が足りないからです。焦る必要はありませんので、机の上で教え込もうとせず、できない問題に関連することを、具体物を使って体験させてあげてください。そのうえで、もう一度同じプリントに取り組むなど土台作りに力を入れるとよいでしょう。また、年初めには1年の計画をざっくりと立てておきたいものです。学校によっては、2~3月に一般参加できる行事を行うところもあります。志望校の行事や説明会の日程を調べたり、夏休みの旅行や帰省についても話し合ったりして、ご夫婦の会話を深めていきましょう。できればお母様は、新年からお子様の成長をノートに日々書き留めておくとよいでしょう。「こんな工夫をしていた」「こういう失敗があった」など、お子様のつぶやきやできるようになったこと、お父様との会話などをメモしておくと、願書を書く際に重宝します。最後に、冬はお子様とお出かけする機会も増えるでしょうから、お父様にはお子様と社会をつなぐ窓になっていただきたいと思います。例えば、「運転手さんは、みんなが行きたいところに安全運転で連れて行ってくれるんだよ」など、世の中にはいろいろな仕事があり、それぞれの人がみんなの役に立つ仕事をしているということや、お父様のお仕事についても伝えてあげてほしいのです。〝みんなのために行う〟という気持ちが、社会性や協調性をはぐくむ下地となっていくのです。