小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
美しい日本語とは、単に標準語や敬語を使うことではなく自分の意思や判断したことを他者に伝えられること、相手の存在や気持ちを認めて対話できることです。
新涼の候を迎え、平成24年度の小学校受験までおよそ1カ月余りとなりました。年長児にとってはラストスパートの、年中児にとっては年長になる準備を始める時期です。今回は、主に年中児のお子様をお持ちのご家庭に向けてお家で身につけてただきたい〝美しい日本語〟についてお話しいたします。個人差はありますが一般的な言語発達の過程では、生後数か月から「あ~、あ~」などなん語を出し始め、1歳~1歳半頃になると1語文~2語文を話し始めます。2歳前はまだ話しませんが、両親やまわりから言葉を吸収していますので、お子様の反応にしっかり応え、話しかけてあげることが大切なのです。3歳頃になると自我が芽生え、自分の気持ちが言えるようになったり、世界や社会への興味から「何で?」などの質問が多く見られたりしますので、言語発達に応じた回答でお子様の探究心を満たしてあげましょう。4歳頃になると、わざと汚い言葉で大人の反応を見るようなことも出てきます。「いけません!」と過敏に叱るよりは、「その言葉は、他の人やお客様の前では言ってはいけないことよ」、「お母さんはその言葉は好きではないわ」など、言葉は状況に合わせて使いわけるということを、お子様自身に悟らせてあげるとよいでしょう。小学校受験でも、面接や行動観察、個別考査などさまざまな場面でお子様の言葉や言語によるコミュニケーション力が見られています。では、〝美しい日本語〟とはどのようなものを指すのでしょうか?それは、標準語で話すことや、単に「です・ます」などの敬語を使えるということではありません。5~6歳の言語発達の基本となるのは、自分の意思や考えたこと、判断したことを相手にしっかり伝えられるかどうかです。子どもたちがグループで相談する際、人の話を聞いて相手に思いを伝えられるか、一方的ではなく相手の存在や気持ちを認められるかなどがポイントになります。また、「今日は何に乗ってきましたか?」「お休みの日は誰とどのように遊びますか?」といった質問が面接で聞かれることが多いのですが、記憶に基づいた豊かな描写力も美しい日本語に通じると思うのです。そのために大切なのは、ご両親が「美しい日本語のお手本」を示してあげることですね。子どもは模倣から言葉を覚えます。例えば花を見つけたときに「きれいね」で済ませるのではなく、「赤い花びらがつやつやしていてきれいだね」など、色や擬音語などを付け加えて表現してみてください。ご両親の会話も、相手を尊重した話し方であるか、正しく意図を伝えられているかなどを意識してみましょう。お子様の話に共感しほめてあげることで、「いろんな言葉を使って伝えたい」とお子様が感じ、お話が大好きになると思います。それから、年代や地域、場所によってさまざまな言葉が使われているのを知り、お子様が使いわけられるようになることも重要です。例えば日本の昔話の絵本などで昔の人の話し方に触れたり、祖父祖母や年配の方とお話しする場面を作ったり、遠方に住む知人や、時には外国の方と接する機会があってもよいでしょう。伸芽会では、指導を通して語いを増やし、さまざまな表現のパターンを示すとともに、お友だちやお母様、先生の前で発表する機会をたくさん作っています。発表は、お子様自身が「相手に伝えよう」と言葉を選ぶ訓練にもなりますし、お友だちからの質問にも一生懸命応えようとするよい機会になっています。これからも伸芽会はご家庭と手を取り合って、お子様の豊かな言語力をはぐくんでいきます。 ※お子様の言語発達に不安があるようでしたら、専門家に相談されることをおすすめします。