小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
失敗にめげない心をはぐくむには、あえて失敗させることも必要です。
最近のお子さんは、失敗をする機会が減ってきているような気がします。親が先まわりして、お子さんがきちんとできるように手を尽くしていらっしゃるようです。
私は、失敗にめげない心をはぐくむためには、まずは“失敗”を経験させ、最終的には、その失敗をどうやって成功に導くかを学ばせることが、非常に重要だと考えています。
例えば、入試にもよく出てくるひも結びやボタンかけ。これらは、大人にとっては簡単でも、お子さんにとっては至難の業です・
そのため、「時間がかかってしまうから」という大人側の都合で、ボタンが少なく脱ぎ着しやすい衣服やひものない靴をつい選んでいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、それらを着せることがいけないと言っているわけではありません。
ひも結びやボタンかけでお子さんに学んでいただきたいのは、それらの行為そのものだけではなく、はじめは失敗続きだったとしても、試行錯誤の末、できるようになるという体験なのです。
「初めは思った通りにできないんだな」「少しずつできるようになったぞ」と日常生活で得る気づきは、まさに“失敗を経て成功にたどり着く”という過程そのものです。
このような機会をたくさん体験することは、お子さんにとって非常に意味のあることです。なぜなら、これは、失敗を成功に変えるためのレッスンだからです。
では、親として、失敗の経験をそう成功へと引き上げてあげればよいのでしょう?それには、お子さんが失敗した時の声かけが重要です。決してやってはいけないのは、お子さんが失敗した時の声かけが重要です。
決してやってはいけないのは、失敗を責めたり、叱ったりすること。
お子さん自身、失敗したことでガッカリしていますから、それに追い打ちをかけるような言葉をかけては前進しません。
お子さんのやる気をそぐような発言は慎み、失敗から気づきを与え、工夫できるポイントを考えさせるような言葉をかけてあげるようにしましょう。
例えば、「○○ちゃん、できなくて残念だったね」とまずは子どもの気持ちを汲みとって代弁してあげるとよいでしょう。その後で、「じゃあ、どうすればできるようになるかな?」と一緒に解決策を考えたり、「一緒にやってみようか」と解決の糸口を発見できるよう、道しるべをつけてあげてみてください。
すると、次第にお子さんは親の助言なしでも、失敗したときに自ら解決策を導き出す方法を考えられるようになってきます。
入試で重要視されるのは、この自ら解決策を考え、成功に導く力です。そのような高い能力を身につけたお子さんは、次のステップにつなげられる力を持っているので、名門小学校への門戸も広がるのです。
春は芽生えの季節。保護者の方は、お子さんが新しいことに興味を広げたときに、上手に失敗体験をする機会を作ってみてください。
そうすることでお子さんは失敗を成功に変える力を身につけ、失敗を恐れない心をはぐくんでくれると思います。