小学校受験で問われるのは、ご両親の育児姿勢。「合格につながる力」を育てる家庭教育について、伸芽会教師が思いを綴ります。
ほめることはもちろん大事。 けれども時にはきっぱりと叱らなくてはいけない場面があります。 ご家庭のしつけの根本となる「規範の柱」を、ご両親で話し合う機会を持ちましょう。
現代のお母さんは、インターネットや書籍等でさまざまな情報にさらされるあまり、「叱る」というしつけの基本行為に迷いをもっていらっしゃる方が少なくないように思います。“感情に任せて叱るのはよくない”と分かっているつもりでも、ならば「叱る」と「怒る」の差はどこにあるのか、線引きができない……と、よく伺います。
実は、叱ることは「ほめる」ことと同様に、非常に教育的な側面をもっています。また実際の入試でも、行動観察など初めてのお友だちのなかで状況を的確に察知する判断力は、ご家庭でメリハリのあるルールを身につけられたお子さんは一歩抜きん出ているようです。
今回は伸芽会が考える「叱るべきとき」についてお話いたします。
まず、危険なことに対して無意識・無防備であった場合は厳しく教えなければいけない、とお伝えしています。
受験を終え念願の小学校へ進学されても、ホームでふざけたりしては事故につながりかねません。お子さん自身が自らの安全を確保するという意味でも、危険なことに対しての喚起は充分になされるべきでしょう。
では、例えばお子さんが町で傘を振り回していたら、どのように諭すべきでしょうか?
周囲の目を気にしながら、何となく「ダメよ」などと小声で怒ってその場をやりすごしたり、あるいは帰宅後に「さっきはどうしてあんなことしたの!」と蒸し返してしつこく責めたり……これでは、子どもに教えたいこと、教えるべきことが全く伝わりません。
叱るときは、その場で厳しく、明確に、何故いけないのか、理由もきっちり伝えられるとよいでしょう。
「他の人にぶつかったり、あなたも怪我しちゃうことがあるのよ。だから傘を振り回すのはいけません!」
厳しく叱られれば、子どもは泣くかもしれません。そのときには「これからは、どうしていけないのかが分かって、あなたはしないようになると思うわ」と抱きしめてフォローしてあげましょう。
大事なのは、「これは我が家では、これはよいことと考える」「これはだめなこと」と明確な価値観を知らせること。子どもが納得のできる言葉でその理由を知らせることがとても重要です。そして、その後はくどくどお説教はせず、子どもを認めた言葉をかけてあげる。そのことで、子どもは自分が否定されたのではなく、やってはいけないことを伝えられたのだと思うことができるのです。
かつては世の中にはっきりと<社会規範>というものをみんなが意識していて、ご近所の方から子どもが叱られることなどは日常的なことでしたが、現代はその様子も希薄になっています。だからこそ、我が家のしつけの「柱」は何なのか、どういったことをよしとし、どういったことは認められないと考えるのかを明らかにしておきましょう。ご夫婦が別々の価値観をもって接すると子どもは混乱しますので、原則となる「規範の柱」をもつ必要があります。
「ブレない」ご家庭のしつけで、お子様の情緒は飛躍的に安定し、学習にもますます集中できるものです。ぜひ、お休みの日などにゆっくりと「我が家のルール」を話し合ってみてください。