「あなたはどう感じて、どう考えて、どうしたいの?」個性は、人と違う人がいてはじめて気がつくのです。
第2回 人と違うことを恐れない
幼稚園に入るとまず最初に、みんなといっしょに動くことを学びます。集団生活ではそれが大事な場面もありますが、なんでもみんなと同じにすればいい、というわけではありません。「あなたはどう感じて、どう考えて、どうしたいの?」という問いかけをして、自分からアクションを起こせるようにするのが、伸芽会の一つのやり方です。その子一人ひとりにスポットを当てて、主役になる時間を作ります。たとえば「帰り道でどんな花が咲いているか、見つけてきてね」と言っておいて、次の日にみんなの前で発表してもらったり、自分が作った作品を前に、どういうところが大変で、どういうところが面白かったかを話してもらったりします。その子らしい個性とは、自分と違う人がいて初めて気がつくのです。ある年のサマー合宿で、粘土制作をして焼き物を作る課題がありました。宿の方が、お皿とか、恐竜などの作り方を見せてくださると、たいていのお子さんは見せてもらったようなものを作ります。ところが、あるお子さんが「ぼくはマントヒヒを作りたい」と言うのです。私はちょっととまどいつつも、その子のイメージを引き出して、何とか一緒に作り上げました。大事なのは、その子の想いを具体化するために協力してあげることです。そうすることで、「ああ、みんなと違うものができた」「自分が作りたいものができた」という満足感とともに、その子のオリジナルな感性が目に見えるものになりました。個性を育てるには、次の3つのことが大事です。①子どもに「これ、すてき!」「すごく楽しそう!」とか、「なんだかふしぎだなあ」といった感じを起こさせること。暮らしのいろいろな場面にチャンスはあります。②つぎに、感じたことや思ったことを言える習慣をつけることです。たとえ面白いと思ったとしても、それを誰にも伝えなかったら、個性として育ちません。③遊びの中で、子どもの好きなことを見つけること。そこに未来につながるエネルギーが隠されています。 人と違うことを考えたときに、それを間違いだと思わずに、自分はこう思うとしっかり言える子は、伸びていきます。