平成25年度の名門小学校での入試では、どのようなポイントが着目されたのかを振り返ってみました。すると、行動観察の一環として、着替えや片づけといった基本動作のほか、友達との会話や遊ぶ様子など、ふだんからの習慣が重視されていることがわかりました。これらを身につけるためには、ご家庭ではどのように過ごせばいいのでしょうか?今年度の入試で出題された具体例と伸芽会教師からのアドバイスをご紹介します!
子どもの将来の力の多くが家庭で育まれます。小学校入試では、主に親子関係の中で子どもが身につけてきた自立心や、人とのコミュニケーション力が選考のポイントになっています。慶應義塾幼稚舎では昔から遊びを中心にした行動観察を実施していますが、同じように、他のテストを削って行動観察を導入した考査をする学校が増えてきました。これは、子ども一人ひとりの能力を、集団の中で見た方が、より本来的な姿が捉えられるという事でしょう。社会的にコミュニケーション力や、行き詰まっている状況を打破する能力や発想力が求められていることも無縁デハないでしょう。暮らしの中で習慣として育まれた行動と、遊びを含めた経験がどれだけあるかに着目される時代なのです。
1 自分で起きる(着替えや支度)
考査ポイント 自立心[考査におけるこの習慣の重要性]どの小学校でも考査の中心に置かれるのが、お子様の自立心です。その現れとして、日々の積み重ねである着替えや身支度といった生活力が問われます。 注意点 着替えができても、襟や裾の始末がちゃんとできていないようでは心もとない状況です。 名門小学校の25年度の具体例 学習院初等科 試験場では一人ずつにスモックが用意してあり、課題が始まる前に自分でそれに着替え、課題が終わったらそれを脱いで片づける。 田園調布雙葉小学校 2日間の試験の1日目は、机に向かってペーパーテストをするのではなく、広い場所で集団で遊ぶ。そのときに、持参したTシャツと半ズボンに着替えるところから始める。 早稲田実業学校初等部 バケツの中に水が入っていて、お手拭きとそれをしぼって入れるためのケース、お弁当箱とそれを包むためのハンカチ、箸と箸箱、リュックサックなどが置いてあり、「さあ遠足に出かける準備をしましょう」という課題が出された。 ADVICE 伸芽会からのアドバイス 習慣としては、自分で起きることで一日を始めることに主眼があります。つまり、人に起こされるのではなく、子どもが自分で目を覚ますようになることです。そして起きたあとは顔を洗い、前の夜に自分で用意しておいた服を着られれば、自立心も徐々に育っていきます。こういった規則正しい生活を始めるのは、幼稚園や保育園に通いはじめるころが適切です。その子が決まった時間に目を覚ますには、どれくらい睡眠が必要かを逆算して、前夜何時に寝かせればいいかを割り出します。しかし、この習慣はなかなか身につきません。お母様が「起きなさい!」と声をかけたり、着替えのボタンをとめてあげたり、どうしても手助けをしたくなります。そのくせがついたまま毎日を送っていると、入試にもさしさわりが出てしまいます。たとえば何人かで着替えたりするときに、隣の子を真似ていつもと違うたたみ方をして雑になったり、失敗したりすることです。また、親子面接などで、自分の答えや態度がこれでいいのかと、問いかけるようにご両親の顔をのぞきこんだり、ご両親もつい、うなずいたり首を振ったりすることです。これはその子がいつもお母さんに頼っていることの現れと見られてしまいます。いつまでも自分が起きられなければ、一つの方法としては、年中から年長ぐらいには時計を読めるようになるので、誕生日に目覚まし時計をプレゼントするのもいいかもしれません。物に助けてもらうことになりますが、起きる時間を自分でセットすることで、一日を自分で始める心構えができるのなら役立ちます。