有名校の先生方に教育哲学やご家庭へのアドバイスを伺います。
第3回 成蹊小学校 先生
成蹊小学校は、学習とは自分自身のためのものであり、自ら進んで取り組むものだという“自学自修”の習慣を確立させる教育を行っています。“自学自修”の精神は、さまざまな直接的な体験からはぐくまれると考えます。私たちは実体験を大切にする授業「こみち」を設けて、実物の生きた教材をもとに学ぶ意欲を育てています。この授業で子どもたちは学園内にある馬場から馬糞でできた勇気飛鳥をもらってきて、それらを校内の畑に野菜を育て、最後は調理して食べます。こうした一連の栽培の実体験は、子どもたちが食べ物を口にするとき「誰かか汗をかいて作ったものなんだ」と実感することを教えてくれます。自分で苦労して育てたものは、野菜嫌いのお子さんも、がんばって食べるようになるんですね。座学だけでは得ることができない、実体験をもとにした五感を働かせる教育活動はとても大切です。ご家庭でも子どもの好奇心を学びにつなげる場があれば、自ら学ぶ姿勢がおのずとはぐくまれるのではないでしょうか。 一日を丁寧に振り返ることが日々の生活を豊かにする 毎日を丁寧に生きていく習慣をつけさせることも、とても大切なことです。わが校では創立当初から子どもたちに日記指導を行い、自分の生活をきちんと振り返って、見つめさせています。日記を書くということは、一日の出来事を反芻して、発見したことや新しくできるようになったこと、または失敗したことなどに気づくことができます。そういった一日の細かい振り返りが、日々の生活を少しずつ豊かにしていくのだと私は思います。話すことが苦手でも、書くことで自分自身を表現できる子も少なくありません。大人にとって、子どもが何を考えているかを知るツールにもなり、心の交流を深められます。まだ字が書けないお子様には、絵日記から始めてみることをおすすめします。 あいさつからコミュニケーション能力を養う 豊かな生活を送るため身につけていきたいものが、コミュニケーション能力です。これは一朝一夕では養えないので、幼少期からの日々の経験の積み重ねが重要になってきます。まずはあいさつにより仲間の輪を広げ、自分の活躍できる世界が広がっていくと思うからです。これからは、より国際化が進んでいくことになるでしょう。誰とでも物おじせずコミュニケーションが図れるたくましい力をはぐくみ、世界に目を向ける姿勢を養っていっていただきたいと思います。 先生から家庭教育でのワンポイントアドバイス ご家庭では勉強に関すること以外でも、ほめるためのアンテナをたくさん立ててください。進んであいさつができたとき、お手伝いをしたとき、どんな些細なことでもほめてあげてください。子どもはほめられることで自信を持ちます。自信は困難に立ち向かう精神を養い、新しいことに挑戦する力になります。日々の自信の積み重ねを大切にしてほしいと思います。