他者とのやりとりを覚える
CASE3 お友だちのものを取ってしまう
○言葉が出ずに奪い取る
自分の気持ちを言葉で表せずに行動で表してしまう1歳児、お友だちが使っているもので遊びたい時に、いきなり引っ張ったり、横から取ってしまうことがあります。
「○○ちゃんは今、遊びたいのね。そうなのね。でも、△△ちゃんが使っているから、あとで貸してもらいましょうね」と言葉をかけます。
もし取ってしまったら「いま○○ちゃんが使っているわよね。そういう時は、貸してって言うのよ」と遊びたい気持ちを代弁してあげます。「いいよ」と言われたら「ありがとう」、「いや」と言われたら「今はまだ使っているから、あとにしましょうね」というように、やりとりを自然に覚えられるように繰り返し伝えています。それ我慢につながっていくし、そこで学んでいるものはたくさんあります。
○お友だちのものを取ろうとして、ぶつ
幼児は自分がほしい時、お友だちを押しのけたり、引っ張り合ってしりもちをついたりします。先生方は現場をよく見ていてケガにならないように注意をしていますが、もし勢いあまってぶったり相手を傷つける行為をするようなことがあれば、すぐにその行為がいけないことだとたしなめます。
そのあと「ぶっちゃったのはいけないことだけど、○○ちゃんは△△がしたかったのね」と気持ちに添って、「じゃあ先生と一緒に、貸してって言いましょうね」と促すと、うまく導いてあげられます。普段のごっこ遊びでは、人形を使って客観的に見られるような工夫をしています。お子さんが持って遊んでいる人形に、先生が別のお人形をしかけて「えーい」と意地悪したりいたずらしたり。人形を通して、相手の気持ちを感じてもらうきっかけを作って、「いやね」「貸してって言えたらよかったのにね」と感想を話し合うのです。